咀嚼の効果

咀嚼(そしゃく)とは、口腔内に運ばれてきた食べ物を飲み込めるように細かく噛み砕くことを言います。

咀嚼することは、食べ物の消化・吸収を助けるだけでなく、顎の成長発育、脳を活性化させるなど重要な役割なども果たしています。

 

時代の変化と共に日本の食生活は変化し、ハンバーグやスパゲティーなど代表的な子供達に人気メニューは、あまり噛まずに簡単に飲み込めてしまうことができるため、昔に比べて現代人の咀嚼回数は減っています。

「よく噛んで食べる」などの著者の斉藤滋先生によれば、弥生・平安・鎌倉・江戸・戦前・現代の食事を再現して、咀嚼回数と食事の時間を測定した結果、咀嚼回数及び食事の時間が戦前と現代を比較しただけでも、約2分の1に激減しているそうです。

 

  戦前 戦後
咀嚼回数 1420回 620回      
食事時間 22分 11分
メニュー 大豆の味噌炒め コーンスープ
  たくあん ハンバーグ
  野菜の味噌汁 スパゲティー
  にんじんと大根の煮物 ポテトサラダ  
  麦飯 プリン
    パン

ちなみに、弥生時代の一回の食事の咀嚼回数はナント約4000回。 食事の時間は約50分にもなるそうです。

弥生時代と比較すると、現代人の咀嚼回数は約6分の1以下、食事の時間は約5分の1です。

 

最近の子供達は、食生活の変化から咀嚼回数が少なく、顎の骨が十分発達せずに細くなっています。

その結果、歯並びが悪い子供も多くなりました。

子供の頃からたくさん噛むことで、顎の骨は発達し、不正咬合や顎関節症を未然に防ぐ事が出来ます。

また、よく噛むことは唾液の分泌を促進し消化を助け、脳に刺激も与えます。

 

時代の変化と共に食生活が変わることで、噛む回数が減り、身体にも変化があることはご理解頂けたかと思います。

「よく噛んで食べる」ことは本当に大事。

日頃の食事のメニューも考え、よく噛んで食べましょう。

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口臭

近年、各種メディアでも口臭関連の情報が取り上げられたり、口臭抑制関連の商品も多く売られと、世間の関心も高い「口臭」

口臭は、目に見えないだけでなく、自分の口臭は自分では気付かないのでとても厄介です。

また、よほど親しい間柄でないと他人の口臭を指摘してはくれませんし、悪気はなくても自分が気付かぬうちに、周囲の人に不快感を与えてしまうことさえもあります。

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口臭の原因は、起床時や緊張などによって唾液の分泌が低下した時などの生理的口臭、糖尿病などの内科的疾患、ニンニクやニラなどの摂取による外因的な口臭、その種類によって様々ですが、約80%が口の中が原因とされています。

その局所的な原因としては、歯周病や虫歯、プラークや舌苔、歯石、口腔内の乾燥、不適合な修復物、清掃不良の義歯など、様々な因子が挙げられます。

 

口の中が原因とされる口臭の原因物質は、口腔内に存在する嫌気性菌がタンパク質を分解し腐敗させることによって産生される、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどの揮発性硫黄化合物(VSC)です。

中でも、硫化水素及びメチルメルカプタンが、口臭から検出されるVSCのほとんどを占めていると言われいています。

 

様々な要因が絡み合っている場合も多いため、口臭の改善には時間を要することがしばしばありますが、虫歯や歯周病があれば、まず治療する事が原則です。

そして、規則正しい生活習慣や食生活を送ることも重要です。

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もちろん「歯磨き」もお忘れなく!!

 

歯周病と全身疾患

最近の研究では、歯周病が全身疾患と非常に関係があることが分かってきました。

歯周病を引き起こす細菌によって、肺炎や心内膜炎など、妊産婦では早産、低体重児の危険性があります。

また、糖尿病との関係が非常に深く、糖尿病の人の多くに重度の歯周病が多く、歯周病は「糖尿病の第6の合併症」とも言われています。

 

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【歯周病と心疾患】

心疾患は、日本における3大死亡原因の1つに挙げられていますが、歯周病菌は血流に乗って心臓に感染し、心臓の弁膜や内膜に発症する「細菌性心内膜炎」を引き起こす原因になります。

また、動脈硬化を進行させる可能性も指摘されています。

 

【歯周病と糖尿病】

先にも述べましたが、歯周病は「糖尿病の第6の合併症」とも言われています。

血糖値の高い状態が長く続くと、歯周組織に炎症を起こしやすく、歯周病の進行を早めることが知られています。

また、糖尿病の方は、そうでない方よりも細菌感染しやすく、創傷治癒が遅くなることもよく知られています。

 

【歯周病と誤嚥性肺炎】

食道を通らず、誤って軌道に入ってしまい、歯周病菌が肺や気管支に感染して発症します。

特に嚥下反射の弱くなった高齢者に多くみられます。

口腔内の衛生状態と肺炎には相関性があると言われており、口腔内を清潔に保つことがリスクの軽減に繋がります。

 

【歯周病と早産・低出生体重児】

妊娠37週未満の出産を早産、体重が2,500g未満の新生児を低出生体重児と定義されています。

母親が進行した歯周病に罹っている場合、毒素や炎症性物質が血中に移行し、胎盤を刺激すると胎児の成長に影響を与えたり、子宮の収縮を促すなどによって早産のリスクが高くなります。

また、低体重児出産は7倍以上にもなるとも言われています。

 

このように、歯周病は、様々な全身疾患に影響を与える危険因子となります。

歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、最低でも半年に1度は定期健診を受けるようにしましょう。

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歯周病

口腔内の細菌が、食品に含まれる糖質と結びついて増殖し、歯の表面に黄白色を帯びた粘着性物質(プラーク)を形成します。

歯周病は、歯周組織に発生する疾患の総称で、プラーク内の歯周病細菌が主要な原因であり、歯だけではなく歯の周りに付着して歯肉に炎症を起こし、進行すると歯を支えている歯槽骨や歯根膜を溶かしてしまう病気です。

歯周病のうち、歯肉に限局した炎症が起きているものを歯肉炎、他の歯周組織にまで炎症が波及しているものを歯周炎と言います。

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歯周炎になってしまうと、歯槽骨、歯根膜が溶かされて、歯を支えることができなくなり、その結果、歯周病の末期では歯が抜け落ちてしまいます。

日本人が歯を失う最も大きな原因で、日本人の成人の約8割が歯周病に罹っていると言われています。

 

歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、以下のような自覚症状がある場合は、歯周病がかなり進行していることも多いため、1つでも当てはまる症状がある場合には早めに受診しましょう。

 

 ・歯肉の色が赤い、赤紫色になっている

 ・口の中が粘つく

 ・歯石が付いている

 ・口臭が強くなった

 ・歯の隙間によくモノが挟まる

 ・歯肉から出血する

 ・歯肉が腫れている

 ・歯がグラグラ動く

 ・歯が長くなったように見える

 

象牙質知覚過敏症

「虫歯もないのに歯が凍みる」という症状は知覚過敏であることが多く、正式には「象牙質知覚過敏症」と言い、一般的に冷たい飲み物などの温度刺激や歯ブラシの接触などによる一過性の痛みを呈しますが持続しないのが特徴です。

いくつかの発生機構が提唱されていますが、主として象牙質に加わった刺激によって象牙質にあある無数の小さな管(象牙細管:ぞうげさいかん)の中の組織液が動き、神経を刺激して一過性の刺すような鋭い痛みが生じるという「動水力学説」が最も広く受け入れられています。

 

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口腔内所見では、咬耗症やくさび状欠損などによるエナメル質の物理的摩耗、酸食症などによる化学的摩耗、歯周炎の進行や不適切なブラッシング、歯肉の加齢的変化など様々で、フッ素などを塗布し作用させる方法、皮膜やレジン(プラスチック)で塞ぐ方法、レーザー照射などの治療法が一般的です。

 

虫歯の進行と治療(C4)

虫歯が進行し、根っこ(歯根)だけになってしまった状態です。

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この段階になると、ほとんどの場合、歯を保存することが難しく、抜歯をせざるを得ません。

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( ↑ 上顎第1大臼歯:3本ある根っこもバラバラになってしまっています)

 

保存が不可能なため抜歯し、歯を失ったところは、入れ歯かブリッジ、もしくは、インプラントによって補うのが一般的です。

 

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   部分入れ歯       ブリッジ       インプラント

虫歯の治療と進行(C3)

虫歯が神経(歯髄)に達している状態です。 ズキズキと痛みが強い段階です。 ippan_c3 

 

この段階の虫歯は、神経を取って根の中を消毒し、きれいになった根の中に再び細菌などが入らないように薬をつめます。

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( ↑ 不適合な銀歯を外すと、中で大きく虫歯になっていました)

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( ↑ 虫歯を削っていくと、虫歯が神経まで達し針が入ります)

 

神経をとった歯は、栄養が通わなくなってしまい、枯れ枝のように脆くなってしまうため、歯を補強して最終的に銀歯やセラミックスなどの冠(クラウン)を被せるようにするのが一般的です。

虫歯の進行と治療(C2)

虫歯が、象牙質に進行した状態です。

冷たい物を食べたり飲んだりすると、凍みたり痛んだりする段階です。

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この段階の虫歯は、虫歯の部分を削り、詰め物(インレー)で治療するのが一般的ですが、比較的小さな虫歯であれば、CR(コンポジットレジン)というプラスチックを詰めて治療する場合もあります。 

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( ↑ 一見何ともなく見えますが、歯と歯の間が黒く透けて見えます)

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( ↑ 削り始めると、虫歯が見えてきました)

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( ↑ CRで修復)

 

この段階であれば、歯の神経を取らずに済みます。

虫歯の進行と治療(C1)

歯の表面のエナメル質が虫歯になってしまった状態です。

痛みはありませんが、放っておくと虫歯が進行してしまう状態です。

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この段階ではエナメル質の虫歯の部分を削り、CR(コンポジットレジン)というプラスチックを詰めて治療するのが一般的です。

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( ↑ 一見何ともなく見えますが、歯の溝が虫歯になっていました)

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( ↑ 虫歯を削ったところ)

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( ↑ 白いプラスチックを詰め終了)

 

この段階であれば、痛み無く治療することが出来ます。

虫歯の進行と治療(CO)

CO(Caries Obserbation)の略で、初期虫歯要観察歯を意味します。

 

歯の表面のエナメル質が白濁した状態で、この時、歯の表面下ではカルシウムが溶けて失われてしまっています。

これを脱灰と言い、歯の結晶構造が不規則になり乱反射をするため白濁して見えます。

 

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この段階では歯を削ったりする必要はありません。

丁寧なブラッシングでプラークを取り除くこと、フッ素を塗布することで再石灰化を促し、自然治癒を期待します。