2010年1月26日 のアーカイブ

2010. 1.26  学術例会

2010年1月26日 火曜日

今日は診療室を早退させて頂き、歯科医師会の学術例会に出席して参りました。

都立府中病院の循環器科の先生を講師にお招きし、「循環器医からみた観血的歯科治療」と題しましてご講演頂きました。

 

歯科医院に訪れる患者様は、健康な方ばかりではありません。

例えば、高血圧などの循環器系疾患などを持った方も当然多くいらっしゃいます。

高血圧の病歴の長い方では、動脈硬化による血管病変とそれに伴う各種の臓器障害を生じていることも多く、そういった場合、血圧の急激かつ著しい変動は、高血圧性脳症、虚血性心疾患とそれに伴う心不全を招来する危険も大きくなります。

特に予備能力の低下した有病者や高齢者では、負担が少し増加しただけで循環器系に破綻をきたすことがあるので、歯科治療に伴う循環器への悪影響を少しでも軽減するためには、患者様の病態に対する理解と細心の注意が必要です。

ですから、医療の現場で歯科医師に求められているのは、何も歯科治療の知識や技術だけではありません。

 

歯科治療に伴う患者様のストレスは、予想以上に大きいものです。

若くて健康な方でも時に、過度の緊張から過換気症候群や神経性ショックなどの全身的偶発症を招来することもあるくらいですから、特に予備能力の低下した有病者や高齢者では、疼痛管理はもちろんの事、心電図、血圧・脈拍、酸素飽和度のモニタリング、医科との連携など含め、より安全で快適な診療環境を提供しなければなりません。

 

医学の進歩と社会福祉の充実に伴って、潜在的に全身疾患を有する患者様が歯科医院を訪れる機会が増え、この傾向は高齢化が進むにつれて、より一層増大するものと思います。

多くの先生方も、安全な歯科治療を日々心掛けていると思いますが、命に関わるような重篤な偶発症が通常の歯科治療の場において頻繁に起こるとはあまりないので、その意識が薄れてしまいがちではないでしょうか。

自分も含め、改めて気を引き締めたいと思います。