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2012. 2.22  医療連携研修会

2012年2月22日 水曜日

今日の夜は、地域医療連携研修会に出席。

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東京小児療育病院の萩原先生を講師にお迎えし、障がい者の歯科診療についてお勉強しました。

 

障害のある方の歯科治療を進める上で、障害の種類やその程度によって治療の難易度は大きく変わります。

治療の際に口を開けてもらうなど、普通なら何でもないようなことが難しかったりするだけでなく、些細な環境の変化、例えば、いつも座るユニットが違ったりするだけでパニックを起こしたりすることさえあるのです。

また、障害そのものの対応に追われ、歯科への受診が後回しになったり、歯が痛くても明確に訴えてくれなかったりと、重症化してから受診されるケースも多く、治療そのものが困難なことも多くあります。

ですから、障害のある方のQOLの向上を図るには、我々歯科医師だけでなく、保護者・介助者、病院、行政など、障害のある方に関わる様々な職種の方々との連携と、それぞれの疾患・障害の様々な特徴や程度を踏まえた上での障害に配慮した歯科治療や口腔ケア、機能訓練などがとても大切です。

 

ところで、障がい者治療は想像を絶するエネルギーを必要とします。

そのエネルギーの対価は、全くと言っていいほどありません。

障がい者歯科の世界にコスト意識を持ち込むこと自体、間違いなのかもしれませんが、現実問題としてコストの問題は避けて通れません。

大きな病院ですら、それを度外視して病院を維持する事は不可能。 ましてや、個人経営の小規模歯科医院ならなおさらです。

コストの他にも、高度な専門的知識、技術、設備、人員などを考えても、障害の程度によっては、診療所単位では難しい問題ばかりで、ヒューマニズムという美しい言葉だけで出来るほど、障がい者歯科診療は甘いものではありません。

しかしながら、出来うる処置、基幹病院との間の病診連携の役割を担うことが、一次医療機関として大切です。

 

さて、この国は、生き死にには大変なお金を使う事を認める国で、終末医療は年間9000億円を超えています。

それが決して悪いとは言いませんが、終末医療にお金が掛かりすぎているため、政府は命題として医療費削減を行います。

ところが、不自由なれど、毎日をどうやって生きていこうかと言うような、生活の質の向上のためにはほとんどお金は使われません。

それと同時に、歯科のような医療費全体の9%弱しかない、それぞれの人の質の向上が目的の医療も同じように削減され、障害を持つ人、家庭環境にまともにしわ寄せが来る大変な国です。

障害のある方に関わる様々な職種の方々との連携で成り立っている障がい者歯科診療において、現場レベルの人たちは熱心に研修しにきていたワケですが、こういう場に全く顔を出さないお偉いさん達は、知的障がい者を相手に身を粉にしてブラッシング指導する歯科衛生士の苦悩や開口保持も困難な歯科治療など、見たことも聞いたことも無いんでしょうね、、、